乗ってみました!「ひょうたん島Summer Taxi」

2021年07月30日

西日本では、梅雨明け以降暑い日が続きます。本当に夏本番。そこで、夏を感じることと言えば水。「水都とくしま」に相応しいあることを体験してきました。

それは、徳島初の「水上タクシー」。運航するのは「新町川」を30年に渡り守ってきた、お馴染みの「NPO法人新町川を守る会」。実は私達二人は、新町川でボートに乗るのは初めてなのです。それに、二人のうち一人は広島生まれ。もうワクワクです。

(案内図提供:NPO法人阿波農村舞台の会)

(※徳島新聞によると、この水上タクシーは、「ひょうたん島クルーズを運航する認定NPO法人新町川を守る会と、インターネットを使ったタクシー配車システムを提供する電脳交通、NPO法人阿波農村舞台の会が連携。県の委託を受けて運営する」とのことです。)

さて、このタクシーを利用するには、予約が必要です。まずは、スマホで予約サイトへ。
「ひょうたん島SUMMER TAXI」で検索。検索リストが分かりにくければ、このサイトです。「http://hyoutanjima.tokushima.jp/

まず、予約サイトの「ご予約はこちらから」をタップ。予約受付フォームが出てくるので、必要事項を記入します。

乗り場は「寂聴桟橋」、降り場は「イオンモール徳島前」としました。

何って読むの? という方はいないかもしれませんが、「じゃくちょうさんばし」です。寂聴といえば、小説家・尼僧として高名なあの瀬戸内寂聴さんのことと思いますよね。そのとおりです。この桟橋のすぐ北側に「徳島県立文学書道館」があり、その館長が瀬戸内寂聴さんであることが名前の由来だそうです。

手前味噌なんですが、この桟橋は、助任川河畔緑地という親水公園のなかにあって、数年前この公園にある古くなったボードデッキを更新しました。その詳細設計を担当したのが私達の会社です。だからというのもなんですが、個人的にこの河畔緑地には親近感が湧きます。

さて、桟橋で待っていると、時間通りにボートが現れました。白いマスクにサングラス、藍色の帽子をかぶった方が操縦しています。頼もしそうに見える船長さん。少し狭そうなところにある浮き桟橋にも軽やかに着岸です。白いマスク越しに「お待たせ」とやさしい声が聞こえます。 その声で、私達のテンションも上ります。

ボートに乗り込むと、船長さんから説明がありました。
「今の時間は潮が高いので、東に向かって下らずに逆コースを行くからね」

どういうこと? なんかよく分からないけど、逆コースということはひょうたん島を左回りに回ってほぼ一周するということ。初めての私達には、願ったり叶ったり。出発進行。

この日は、梅雨が開けて連日続く晴天の日。燦々と降り注ぐ強い日差しを受けながらも、水面に吹く風は心地よく、とても快適です(でも帽子を忘れたのが痛手!)。そんなに大きなボートではないのに船尾に長く続く航跡にも驚きです。船長さんがボートの出力を上げると横に広がる波は、護岸にも遠慮なくぶつかります。

そうこうするうちに前方に橋が見えてきました。その下をボートは潜ります。狭そうな橋の下を船長さんは何の躊躇もなく入っていきます。そうか、分かりました。コースが逆になったのは、通常のコースを行けば、橋桁の低い橋があり、お客さんを乗せたボートを安全に通せないからですね。

橋桁の高さによっては、思わず頭を下げてしまいそうになる橋があります。当社の橋梁担当の社員なら、無意識に桁下の状況を観察するかもしれませんが、私達にとっては、一種の細やかなアトラクション。ちょっとそのスリルを楽しみました。

ボートは、乗降場である「あわぎんホール前」を通過すると、「両国橋ボートハウス」→「県庁前」→「万代中央ふ頭」の順に進み、いよいよ「イオンモール徳島前」に到着です。

イオンモールへはいつも車で行きますが、こういう行き方もあるのだと感心しました。ある意味、非日常感を堪能できます。特に青空がきれいな今日のような日は格別です。

さて、私達は、ここで「イオンでお買い物」というわけではありません。もう一コース体験することにしました。

それは、「両国橋ボートハウス」から吉野川河口の北側にある「阿波十郎兵衛屋敷前」往復コースです。

「両国ボートハウス」へ戻って、再度ボートに乗船です。なんと今度は私達だけではありません。偶然ですが、テレビ局の取材クルーと一緒です。

阿波十郎兵衛屋敷へ行くには、今度はひょうたん島を右回りです。そして、吉野川に出て吉野川を横断しなければなりません。ワクワク感最高潮です。

「両国ボートハウス」を出たボートは新町川を上流へ向かって走ります。両岸には徳島の街並みが広がり、ボートが跳ね上げるきれいな水しぶきが私達の高揚感に拍車をかけます。

でも、昔の新町川は今のようなきれいな川ではなかったそうです。

1990年「市民の汚した川は市民の手できれいに再生しよう!」というスローガンのもと、中村英雄会長をはじめ有志10人で「新町川を守る会」が発足します。それからおよそ30年、「新町川を守る会」の精力的で献身的な活動は、多くの賛同者を集め、今日のように水上をボートで滑走できる素晴らしい環境が生み出されたとのことです。

ボートに乗った方は気づくとおもいますが、昔は多くのお店にとって、川側は裏側だったのですが、今や再生された水辺の方は、もう一つの表側になっています。これが、「水都とくしま」の一面なのですね。

ボートは、三ツ合橋(みつあいばし)に差し掛かります。三ツ合橋は、新町川と助任川に架かる橋で、橋上に交差点を持つ全国的にも珍しい橋です。ここで助任川の方へ行けば「寂聴桟橋」へ帰ります。この関係、分かりにくい方は、のりば案内図か「Google Map」で確認して下さい。
さて、ボートは新町川をさらに北上、いよいよ「新町樋門」に到着です。

吉野川へ出るためにはここを通らなければなりません。

いつもは、堤防上の道路を通るのですが、下からみると意外と大きいのにびっくりです。ところで樋門の役目はご存知ですか。ここでちょっとだけ説明しておきます。

樋門とは、私達が住んでいる側(堤内地といいます)に降った雨水などが、大きな川に合流する場合、合流する川(ここでは吉野川)の水位が洪水などで高い時、樋門を閉じて川の水が堤内地側に逆流しないように設ける施設です。ところで、それでは水門との違いは、との疑問が生じますが、水門は堤防を切り裂いてゲートをつくったものをいいます。だから、水門は堤防の役目も果たします。

さあ、樋門の中へ入りましょう。

堤防の暗いトンネルを抜けると大河川だった

そんなセリフを呟きたくなるくらい、新町川から吉野川へ一瞬に切り替わる眺望は圧巻です。突然眼前に広がる大きな吉野川、そして青い空、青い水。ここを通ったことがない方は是非体験してみて下さい。一見の価値ありです。

吉野川に出ると、東の方向に吉野川橋が見えます。橋の上は何回も通ったことがありますが、ここから見ると橋の長さと吉野川の川幅の広さに今更ながら驚きです。川の中から見る長大橋というのは、想像以上のものがあります。もちろん、ボートは橋の下も潜りますから、吉野川橋を真下から見ることもできます。このコースも、もう一つのお勧めポイントです。

ちょっとだけ吉野川橋のことを紹介しておきます。この橋は昭和3年12月に完成しました。昭和3年ですよ。90年以上も前のことです。アーチ形状のトラス桁が17個架かっています。こんな大きな橋を、昭和初期につくったなんて感動ものです。この橋の開通式は、当時普通に行われていた三代夫婦が歩いて渡る「渡り初め」ではなく、アメリカ製のオープンカーで実施したそうです。そりゃそうですよね。橋の長さは1,071mもあるのですから。

もう一つエピソード。開通間もない頃、徳島航空学校の生徒が複葉機で橋の下を潜り、日頃の練習の成果を披露したそうです。え! こんな狭いところを飛行機で通過。でも本当です。写真が残っていますから。橋の下をボートで通るとき、皆さんもその狭さを実感して下さい。

やがて、ボートは吉野川左岸に到着、ここからは宮島樋門を通って「宮島江湖川」に入ります。樋門からおよそ450mで「阿波十郎兵衛屋敷前」の降り場です。(因みに、左岸というのは、下流に向かって左側にある岸ということです。)

桟橋には、この水上タクシーの事業化を県に提案した阿波十郎兵衛屋敷の佐藤館長が待ってくれていました。もちろん、私達じゃなくて、テレビ局の方をですが。

阿波十郎兵衛屋敷にも寄ってみたかったのですが、今日は勤務時間中です。大変理解がある上司の許可で水上タクシーを体験中。阿波十郎兵衛屋敷の観覧はプライベートで来たいと思います。できれば、その結果をこのブログのコーナーで報告できればと思います。

この「ひょうたん島 SUMMER TAXI 」は、2021年8月1日から営業開始です。営業時間は10時から16時半までですが、受付時間は30分前の9時半から16時までですので、ご利用される方はご注意下さい。

今回、私達は初めて徳島のきれいな川と街並みを水上から楽しむ機会を得ました。この取組がたくさんの方に認知されて、ますます地域が活性化されるといいなと感じました。

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